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一次エネルギー計算とは?建築設計担当者が知っておくべき基礎と実務への活用

1. 一次エネルギー計算とは?
一次エネルギー計算とは、建築物が使用するエネルギーの総量を評価するための計算手法です。一次エネルギーとは、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料や太陽光・風力・水力などの自然エネルギーを指し、これを電気やガスとして使用する際に必要な変換ロスも含めて評価します。
建築物の省エネルギー化が求められる中、設計段階で一次エネルギー消費量を把握し、効率的なエネルギー利用を実現することが重要です。住宅だけでなく、オフィスビルや商業施設などの非住宅建築物でも、省エネ性能を証明するために一次エネルギー計算が必須となるケースが増えています。
2. 一次エネルギー計算が求められる背景
近年、環境負荷の低減とエネルギーの効率的な利用が求められる中、建築業界でも省エネ対策の強化が進んでいます。特に、以下の理由から一次エネルギー計算の重要性が高まっています。
- 省エネ基準への適合義務化:住宅・非住宅問わず、省エネ基準を満たすことが建築確認申請の要件となる場合がある。
- BELSやCASBEEなどの環境認証制度:建築物の省エネ性能を第三者認証で評価し、社会的価値を向上させる。
- ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及:建築物のエネルギー消費量をゼロに近づける設計が求められている。2030年にはZEH水準の省エネ住宅が新築の標準に。
3. 一次エネルギー計算の基本的な流れ
3-1. 計算に必要なデータ
一次エネルギー計算を行うには、以下のような情報を収集する必要があります。
- 建築物の用途・規模:住宅、オフィス、商業施設など用途によって基準が異なる。
- 使用する設備機器:空調、照明、給湯、換気設備などの仕様。
- 外皮性能:断熱材の厚さ、窓の仕様など。
- エネルギー供給形態:電力、ガス、再生可能エネルギーの利用状況。
3-2. 計算の手順
一般的に、以下の手順で一次エネルギー消費量を算出します。
- 建築物のエネルギー消費用途を分類
- 空調、換気、照明、給湯、エレベーターなどに分ける。
- 各設備のエネルギー消費量を算出
- 方式や効率を考慮し、一次エネルギー消費量を計算。
- 基準値との比較
- 国の省エネ基準値と比較し、適合性を確認。
- 省エネ対策の検討
- 設備の高効率化や再生可能エネルギーの導入を検討。
4. 実務で活用できる一次エネルギー消費量を評価するツール
国や公的機関が提供するツールを活用すると効率的です。以下は代表的な一例です。
- WEBプログラム(住宅・非住宅):
- 国立研究開発法人建築研究所が提供する一次エネルギー消費量計算ツール。
- BELS(建築物省エネルギー性能表示制度):
- 住宅や非住宅建築物の省エネ性能を評価及び表示するための第三者による評価。
- CASBEE(建築環境総合性能評価システム):
- 建築物の環境性能を総合的に評価するシステム。
5. 設計時に考慮すべき省エネ対策
一次エネルギー消費量を削減するためには、設計段階での工夫が不可欠です。以下のような対策が効果的です。
- 高性能な断熱材の採用:外皮性能を向上させることで冷暖房負荷を削減。
- 高効率設備の導入:LED照明、高効率エアコン、エコキュートなどの採用。
- 自然エネルギーの活用:太陽光発電や地中熱ヒートポンプの導入。
- エネルギーマネジメントシステム(HEMS、BEMS)の導入:エネルギー使用量の見える化による最適化。
6. まとめ
一次エネルギー計算は、省エネ性能を評価し、建築物のエネルギー効率を高めるために欠かせないプロセスです。特に設計段階で適切な計算を行い、エネルギー消費量を最適化することが、今後の建築業界においてますます重要となります。
弊社では、一次エネルギー計算の支援や省エネ設計のアドバイスを行っております。計算手法や省エネ対策についてお悩みの際は、お気軽に**お問い合わせフォーム**よりご相談ください。

関西大学工学部建築学科を卒業後、1999年11月15日に株式会社ワークス・ワンを設立。
その後、物流事業、不動産管理・運用、職業教育や知財に関する事業など、幅広く活動。